花一輪が中枢遥かな草原北へ

溺れる蝶降ると表すこともできる

呼吸でふくらむ毛布から不代の溜め息

もしやと言わず何も知らず今日とは思わず

川涸れてやむなく谷折りされた紙

うつむきがましい花本に無地となるまで挟む

津波来るちょうど呼吸に疲れた頃

航路思い出す度徐々に濡れていく

紙を球にした男も飛んでいる

娘の褐色褐色を招き澱む爪

身の丈に浮く帽子とあちらに彷徨う布

煙が束になり目指す湖底の滾る鉄

黙る喉の奥に流転と杖突く老師

第六の指差し指で消せと命ず

まざまざと笑う空室傘ぶつけ合い

片膝との密度を箱は佇み見る

空は青いままビンは滅ぶまでが街

電気の幻映す機器の魚市場に佇む

夕日に触れ焼け落ちる夢遊病者の軍手

宿代に魚舞い散る器は空