肉薄とは死魚の尾を引き里がる少女

馬の背半ば抱く砂静かに咳き込む夕べ

グラウンドに収まる四角い私物に乗る

海越え山越えまた海 スリッパにも突起

力尽きて倒れる痙攣を虫の行路に許す

朽ちて灰となり眺めるひとひとりの容積

休みの廊下に直立する子の影押さえる鈴

言うべきこと何もなく窓吹いて曇らす

トカゲに倣い這いつくばりトカゲを舐める

切られて赤面する植物乱雑に騙す

しがらみとなるまで圧す巨大な親の岩

打ち下ろして跳ね上げた水を留める無言

火花憂う技師の融点に集う床

全ストライプ錆へ向かう片目の太陽

ズボン畳まれたまま着ようと棍棒振り上げている

屈託ごと意識も失って受取

車窓に渦巻く田へのしかかり破片浴びる

遠い亡夫ら集う手にモンタージュのパーツ

嘆きつつ三色に塗り分ける橋

無人の港に水を足す森の泉の水