ない放送に浮足立つ地べたのもやし

豊穣の胴体静止して騒ぐ

縄に殴打の痕くっきり冥府の地番

歪む耳から声がする一抹のそれと

宿り木の粘液時雨れ狭き晩餐

白柿狩る瞼この瞬間も皮膚

石沈むわらべうたの輪に有識者

前方への堕胎鳥居を突き崩し

闘技場の勝者我が背丈を水深とせよ

蒸気卑屈に糊面を飛び回る夢見

伐採の手を群青の家畜に拉ぐ

山の名ズラズラ書き記してありエメラルドの目眩

画布手に嵐を全身に豪快なる卒倒

牛は強靭に白く聳えた神経の塔

墓守震えて機械的に解読を待つ

堰破る虚飾明かりのない部屋へ

ビル昏れにありがたや自販機も息する

放牧反転してただ明るいばかりだ窓辺

斜めに滴る不謹慎を滅ばせゆくため

身とこころは片町ふたつでひとつの母音

線路は続くよ「神様ぼくを」とパープルに

石柱に暗闇区切られ我が身は頁に

塗料ねじる量に任せ仙境への道

血筋淡き髪に予定日の丸絡まる

昼時々笑う害虫駆除の青年

星の中にいる咎めに末路が五つ

飼育されて猿常に明日の声を侵す

貴婦人らの手に外壁澄み渡る空へ

薪くべる腹から蝶の羽生やし

霊峰側の駅疑わしく川が開く

口減らす先の尖ってない毛布で

調べを残し地下一面に蠢く銀

着ぐるみの指縁取る大地の烈風

居場所がそのまま報復となる掠れた消印

脳裏は地下よぎるは集団プロミネンス

直線プラスチックの差し歯で味わう濃霧

内角の和に本当が少ない島

たるんだ糸切り今そこに山があったような

喰い潰れて枯れ草滅すべきは月

女の歩幅割るケーキをピラミッドをナイフで

隠れ家で切ったリンゴを元に戻す

憎しみの霙が針より近く降る

都市漂う田は上澄みにしてお知らせ

呼ぶほどに赤く工芸極まる盆

触手巻きつく納屋に一滴の海と素人

朱の骨頂から鶴もぎ取られて発煙する

蜥蜴ら繁殖その根に濡れた虎の牙

しかし同時に流れ星と切れ点字がシーツに

電報届くままに積み公共こんもり

自我のまま奥歯揺すれば無縁墓地

夜汽車泡銭の密なる近親らの恋へ

森の先端に池さす凱旋門から絞る

ピアノしっかと舞台握る必定の夢魔

すべての隙間に緑噛み札束は街

椅子に試験管打ち込み真紅の肌の奴隷

模型冷ます明度の近似した山で

十日分の日めくりを抜く泉の舌

俗夫の妻あどけなく凡々と羽化

弱小なまま茜に玉寿ぐ試合

木々や小鳥が可愛くて飲酒篇の目を出す

擬音吐く虹宛所に尋ね当たらず

巨大システム一平面に束ね未開

軍鶏煮殺す愛という字の複雑さ

魂で仄めく大絶倫の町

鼻腔突く勅命次なる花園へ

比喩もなく沈黙して育つ木と脛

屋根のある沼に丸太の所在を告ぐ

死も全部同じ他人が増えている

帯解くとき折れ線グラフの先を思う

屋根編む少女片足は歌の身代わりに

長寿が群れる日地下茎に輪切りの意を込め

曲線美あらたかに老けゆく学生ら

火を焚き持ちゆけば台座不在の在る局部

(ここから2014年)

輝く日没喉仏の奥拝みに来る

流離遥かに澄んで池にとどまる利口

果てしなく勤労に歯牙注釈す

花瓶狭く沈む合唱団棒立ち

無口ならば引き出しにして主語しまう

一説にも犬ではない路上の枕

赤き前哨戦の誉れ手紙をピンで留め

ビール狂の家財皆砕け宇宙論

輪舞の切り絵の手千切る手受け取る手で打ち消す

球根を深読みして苦とないまぜに

愚かなのでお菓子が甘いぼくはいません

青空深く兆す枯木稲妻の中

矢の雨槍の衾で討ち武士ら毛深く燦々

一枚ずつ脱ぐなぜなら彼女は岸辺の波

アンドロメダが目だと言ってる気に触れつつ

脳震島に五本足の駿馬を放つ

鞠が歪でつけない放送へも電力

うねる肉体の謎水に水力が笑って

米を密かにする釜を肘まで入れて

宗教六角形に人命より崖輝く

街とサイレンを分かつ太い線ひとの喪失

道連れに次元を試す飲食街

非十字型の交点拾い円前進

湖底なお沈むシグマに四季絶し

跪くベーリング海はその時盾

術後の嵐にスローライフの天秤鋳造

劣情のままに太陽は流れて裂