不断の旅行いつ生け花の気は済むのか

斧を頭へ夜明けのビームのパーティー

漆黒無限言行不一致里帰り

宇宙・空中の語弊にロミオという装置

眼も裸に葡萄の実と艶めき合う俘虜

明滅する欠片の数億倍の理系

拡大されたメビウスに一家無心の脈

脳にきらきらした髪そこ右に曲がって

巣へ砂を運ぶ蜂まざまざと生きて

誰かがわたしの背中を崖からはピアノが

獄外に金文字孕む食人花

リヴァイアサン剥くと椋鳥にまさか群れか

日溜まりに笊なき他流試合の甥

男神宿る糠ぶちまけ借家の時報

水だけではプールとは呼べぬ鉋の中

骨も外も白いはず車輪付きパンダ

世にも軽やかな音して広く問うトースト

殿は池を渡るクレヨンで描かれつつ

買うと増える靴べら近くするために

異端の呼吸浅く除名されトカゲとしても

人間根絶した行列移ろう玉虫

肉の会幾重に開く派手な種

愛ぬるく無言無釈迦の麺飛び散る

作務衣南北に引く耕運機畦に裸体

夕冷めた街を握れば沼に脈

薄い頬に長い舌透けて子種の皿

老婆の皮雪原においたわしやと震える

銅の光先生もおかわりなく殴る

夭折その響きで押す暗がりの振り子

行き来自由頭文字は絵だ真っ赤な壁だ

熱の揺らぐ椅子の断絶期にグッピー

海却下して踊る屹立の寮母

軋み風の寒暖をどこまでも毛艶

絵付け師筆引き攣らせ友にならず歯を見せ

離れから合図の髭が伸びている

鏡の舞台に天命ジグザグ兜を脱ぐ

声がする木暗さしかと立方体

袋ふたつ中身は無人平方根

熱でぬいぐるみ弾けバス傾く陰の発語

下流全域人影一欠字十七

温床に多脚の鳩湧き森癒す

着衣破く部族の鍋は未知の鉄

街は怪獣の抜け殻常に壊れている

救いの気球に吊り下げろという無言の肺

巨蝶射す生首にも宴の帳

祖霊を待つ農奴見知らぬ藍連れて

焼いた筆で描く濁る書庫の足りている罅

首をさする電車我がドラキュラの滅び

花群れるごとくぼんやり太る鳩

剥き身の包丁近所に真っ平らに突っ立つ

緻密な昆虫とは計画午後六時二分

また孕むか割り箸割る音吸う袋

街宣車シュレディンガーの猫も無言

一夜は下衆のために証として歌留多

虹炙る野火にゲラゲラ笑いの燕

地割れが噴く紙二重の色した宇宙

日溜まりの器物損壊して奏でる

眼差しは果汁次から次へ皿

泥絵の奥塩貯めて樽の天横這い

人体真紅の出来映えビニールハウス無毛

イルカ斜視に紛れて刺身となる匂い

蟹を焼くいつか巨人が倒れるまで

暴れる男の肉体に星空の気配

白く時化よと警棒で打つミシンの春

十字蝋にあやつら操られて褥

想像上の脳も思う中間地点

焼き畑に家老の分厚い裸騒ぐ

出任せに黄昏よりも昏い児童

松そこへ武術究めて二色刷り

麓百回捏ねてその都度不敵な粘山

リンリン縛る泉の緑の炎の林

太陽系回転を忌む異境の馬群

病臥膨らみモマ飛ぶ虚空へおもちゃのチャチャチャ

往復ビンタで問う川面に否、否と化身

宝刀芯を抜かれ金銀の空模様

波は塵として似つかわしく墓の流線

砂糖よ顎を撫ぜも爆ぜもせよ狐に代え

他人であり歯型を持つ風前の自我

六畳一間恥部は完全なる球体

自転車自転車ぼく自転車おいしいガム噛む

うお座の暴力には乳白の真心あり

縄跳び垂れる鏡に硬直した供養

墓の母と呼ばれてスーツ干せば棒立ち

頭蓋裏の署名にて月読を恋う

お襞様しゃなりしゃなり癌撒き散らす

クジラ暮らすパラオの東に砂明かり

胸ひらく舌禍に古代都市を見て

春の山へ行く同語反復しながら

ボールのどこが裏かただあり従フと

鬼婆も傘を差す砂利過多なる世

ゴミ歌留多鉄粉でまた来ましたと霊が

欠損主義手探りに街のハイバネーション

雨中没するまでフラメンコのレコード回る

紐状遊具谺せず山にもう一台

首長族の夜這いに揺れ果樹らも慟哭

窒息ブロックまたの名を段差果てしなく

こけしで突く天体どちらもぼくの手を離れ

窓の外へ巨乳図画貼る宿の水

桃を削り狂うべき鷲の追いよう海に

歯牙ねぶる串刺公の滅びた舌