花と緑の町折り紙に鶴・氷柱

砂利の他は脚立のみ星降る密葬

薄々気付くままにしノイローゼのボクサー

老女目くばせただ一度に伐採を誘う

手が手を引きちぎるとカラスになる地の果て

蜘蛛膜下にずるずる高速進んでいる

日没こちらに速く色とりどりの入り口

推定五万光年先の地中は未明

花びら落とすよ敷地のサイほら助からない

笑っている偶然の棒は黄色い

雑魚寝で気が触れた快活な患者の凱歌

川穏やか遠足だった泡も消え

ビッグブリッジ眼前におぞましく呪うように

鉄槌弾むフカフカが生きた心地という

番地のない空き家に神の手話冴える

楽をしている座席で山道を見ている

店の奥という奥へ竜巻を愛す仮面

監視ロボに出した舌が痺れて逃げられない

磨かれて輝く崖に椅子を引く

轟音久しい店主の笑み喫茶店開く

立つよ高い山に大きな骨容れて

撃つべき澱みのある笑顔ほど迷う花

前から思っていたつんざく形に今落ちて

アラビア語の皮膚に口あり葉巻を吸う

漆黒の菱形吹雪く絵の手前

洪水導く生きてるみたいに麦振って

本領に種置いて球体めくる

正義で濡れるカーテンに光二階はぬくい

源泉が電卓壊す休館日

メニューの繊維は尖塔の骨組みだ破く

きれいな空みたいな肉屋・全休符

山積みの箱を手当に寝る骨身

鳥羽撃くと思い込む夢に見た街

アメーバの春は路上に核剥き出し

ピーマンで割れた皿が混む蜂の宴

椎茸のよけたい爆風いつか来る

焦土と空のファスナー引く背中にガムテープ

部屋湿る服のボタンが多すぎて

デニム地のカメラ花開くと忘れる

下流にスポーツカー着く日照時間の短さ

化石が迫る家屋に麗しき木目

どこから弾んできたボールが主人を抹殺した

祖父の斧は時計を壊し畑から茄子

殻バラバラに踊るドール死ぬほど冷たい

縦に振り向くなかれ方位は渦の中

指紋辿れば十字キーに黙祷の氏族

人と人と人正確に政治の窓

首の筋繊維にワニいる装置を作った

基地姦淫する照り返しに太陽観測

夫は四人います沿線に等間隔に

蝋燭の火にフクロウの針動く

四人で列つくる夕べに消え去るため

クリーム割れて大河と化すより一片の知

眩しい森に空気などない去れ

託されても花は花嘆きつつ砂漠へ

光に異物を焚き電流がわだかまる

満水の価値なく消えていく車線

所詮千切れて空切る腕も戦士の奢侈

稲妻一直線に本日という火曜日

切り株の上の時空に訴状ひらく

轟ッと終幕オオカミの黒い目と食い合う

喪章は大空間錆びるという悲鳴

娘のネグリジェ割愛する麻痺したマジカル

黄色い実がなる帰り道にサンダル百足

ウサギを共有する客間で息継ぎに出会う

踏んだパネルが正解で街の夕方光る

迸る舌食む電磁鴉の落日

ジュース乾いていく川岸ビン底を蹴る

軽自動車に海閉じ込める低い部屋

帆を立てて農場の土口に塗る

ねじれたポシェットおののいて範囲の無効

盥を洗うママの手やさしい焦点ブレて

切開された医師に窓から頬差し出す

静けさそれ自体は犇めくマシュマロにもある

壷の内向薄まらず双生児の血は

リングと想像上の親指ひずめば時空

推論の枯れて葉となるガス灯まで

不落の核燃え続ける酸素が虚言にない

パリの広場に響く有害なる自己紹介

花であったら青白くでも雨になりたい

朗読会の祭壇に巨大健康体

映画とロッカールーム混ざるぼくのみてくれ

軍人の駒を鋳造する廃村

人は剪定をこよなく愛し薔薇散り散り

泉の木に淋しく冷凍刑の音階

里のぬくい土同列に浸る銀貨

海老よ家庭は明るいか水いいえと揺れ

じゃがいもは麗しき沈黙だった

草原ひとたび尾に服すればギンギツネ

疼きで計るひと月の長さ・呼吸器の蝶

混沌すら同色の霧赤色灯

我が身の生きた心臓大河に洗う叫び

鳥は死ぬ点字に普通は憂鬱ねと

無地取り消す飛び地のカリーニングラード

壁は首を絞めないから安心だ嫌いだ

軋む図面にタレ塗る距離ほど長い机

反動の糸を見る処刑の数々

幼なじみの皮膚素晴らしくコーンの収穫

来れ打ち砕かれた前世の鎖骨を滑り

燃えるもの蔑むもの何処かに泉やる

半熟破れてデーゲームに塁審沈む

型番の違う下駄では傘寿の皺

美しく魚類に名を連ねる陥没

死者を待つ月よりじっと羽飾り

窒息の青海底に似て粘る

淋しくて高嶺に花を誘い出す

浮き慣れた瞳の奥に白い肌

クルミを割る女今日も人形になれず

岩飛沫へ飛翔体から誘導弾

棒グラフに密航する蕊摩訶不思議