豆挽くと風下に黒いフラミンゴ

不覚に傘強いても屋根はガラス張り

ピアノが我が家に来たそして通り過ぎていった

藪吊る八階まで善人の高笑い

或るアパートが滅ぶとは金メッキのガンジス

岩に寄せ友の密会剃る女

雨を忘れている暗い林の中耕し

一軒家未然であれば手渡す石膏

千山の寂寞に定規を当てる

喧噪を絞めたい紐も民家の影

ダム痕跡光ればこそ半月と化す

クジラに見えるものばかりうかうかと田園

禁止区域に土砂無尽蔵鉄塔蹴る

会社役員蛍光色ジャンパーにて弔う

湖畔へ昭和萬葉集の金色を解く

無償の愛に満たされ昼間はなかった麩が浮く

切り裂くと花が出てくる婿の腹

土に男茄子茹でること植え付けられ

噴煙の如く来て熔岩の如く客

わたしはここにいますという手紙が火炎で来た