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イチ・ニとザリガニ来るハサミの量狂いそうだ
象にフックをねじ込んで賞状を飾る
貝を浮かべて島にする取り残される
やがて美しいレクイエムが流れる日までの目次
室が病んでも病室かノートばらばら
カンガルーの肉を吐き旗を沼に浸す
乾拭きの傷で歪む窓越しの他方
網まみれの焚き火に渦を見るランナー
間際の和室に小皿はて羊羹の紅蓮
黄の壁に非業したたる昼の月
ギリシア神話の許されない風吹くと脱ぐ
数珠式換装胸部縫合痕を次々
透明が消える無塩バターの流動
黒猫死ぬと鉛筆すり減る長い昼
弧を描く月光冷えて三叉の座
恋の形状迷わず分離するスポンジ
嵐を斜に鉄階片手の秘術が靡く
二度目の今日の三時に青酸カリを撒く
支配の条項に熊燦然と患う
土減って足りない穴を影が濡らす