■
トマトジュースみたいな彗星馬を駆る
男子寮に斧「のごとく」を抜く生き墨
呻きがいのある陸に慄然とピアノ
小槌のそうでない部分その小槌で打つ
鳥の文字落ちて気泡となる時雨
寄せてはテトラポッドに凍る目とサイダー
シンバルまだ震えている苦渋を語らせまいと
降霊術多角のハンガーから覗く
浴槽に櫂差す不遇サモアで待つ
踊り明かす騎士たち森を和紙で封じ
怒濤より内密なる父の眼差し
虚仮威しに鉄扉あるべき場所にある
神経のない砂浜を書かずにおく
血縁を隔離するべく茶は透明
青春へ虎にニス塗る笑い声
風鈴闇に指から十本指垂らす
溶けてなくなる楔形バサバサと傘
三十六時間目の口から蛍光色
住まいよろしい差異苦しみとはまるで光
逃げゆくものを雲と雪と麗人が追う