トマトジュースみたいな彗星馬を駆る

男子寮に斧「のごとく」を抜く生き墨

呻きがいのある陸に慄然とピアノ

小槌のそうでない部分その小槌で打つ

鳥の文字落ちて気泡となる時雨

寄せてはテトラポッドに凍る目とサイダー

シンバルまだ震えている苦渋を語らせまいと

降霊術多角のハンガーから覗く

浴槽に櫂差す不遇サモアで待つ

踊り明かす騎士たち森を和紙で封じ

怒濤より内密なる父の眼差し

虚仮威しに鉄扉あるべき場所にある

神経のない砂浜を書かずにおく

血縁を隔離するべく茶は透明

青春へ虎にニス塗る笑い声

風鈴闇に指から十本指垂らす

溶けてなくなる楔形バサバサと傘

三十六時間目の口から蛍光色

住まいよろしい差異苦しみとはまるで光

逃げゆくものを雲と雪と麗人が追う