諸説飲む茶屋街は羊羹に翳る

幾多の色を経て争乱の石無色

だらりと首を絞め損ねた蔦受信が終わる

粉一立方メートルで守る栗の鎮座

釘濡らす瞳に唾がよく似合う

のけぞるタキシードの胸詰め放題にフォーク

夜景に濡れた華奢な犬の毛と踊る奴隷

宿り合う大木野鳥の巣で赤い

梁朽ちる七億年後の第五声

台形の傷が鏡の昨日囲む

砂が通るくびれだ手首は体透き通らす

老人雨具のまま顔面に干物を吊る

枕の下の沖に沈黙の写真差し込む

便箋から針きれいな音を見るため

ニワトリ燃えている怒りの複雑な暖簾

噴水ぼくがつくります爆風に押されて

湖追い立て乾かす岸に書生の転び

塩だらけの部屋に火を守る朽ちた両手

ビル密集根元を探す羽の群れ

牧草地八百然として流す