苔むす庭に壷霞ませておく微震

寂寥と果実諂うまで千切り

闇夜に疼く橋サイレンを飲み干して

眠りの目で吸う白昼と飛び散る壁

脱ぎくるもの胸中にまた昆虫に

戯れ言許す柱ぽつんと草の上

羊の胸に雑種と音座布団刺さる

キャロルは生まれてない庭で赤いペンキをこぼし

空が空の上からこちらに裂けた氷柱

朝だジャクリーンジャクリーン弁当の空洞に響く

魚は強さを腹に秘め浮遊写真をなぞる

素性に足す緑の首に上下がない

山奥の川底は山奥である

棍棒にサソリのぬくもりジャングルジム

昼ドラは昼だから光の集合体

指を引く砂から滑走マニアがどこかへ

事件後の家から町が吐瀉された

ニスが死ねばいい遠くに水が張っているから

点ばかりの家紋繋ぐ雨すぐそこに余白

泥より明るく汚れた今日システムアップデート