チリの酒場にどうせ見えない月ならば

多ければ多いほど手鞠名を追いやる

星空を振り乱すとき首飾り

隔離が美しく響くミサイルの弾頭

未熟な庭に坊主が肉を焼いておる

腕検査する雷光に頼まれて

うとうとと宿主が胡桃割るリズム

愛を成す母音が閃きを苛む

滑りに雨がいるならば憂いは捕虜押す

ハンカチ翻してよ言葉より早く

坂道へプールをずらすほどの不意

赤道の結び目に蝶をとどめおく

影真っ白に騒がしい円周の部落

滾る雲は公家を見過ごしくる性徴

点拡大すると闇そこから直線

地下の窓から肥やす鈴畑の鈴の音

牛の首を鋭い同級生が歩く

襟十重なる夫人の顔は薔薇摘む手

土破りの奇祭空は茶のように焙じた

固形の眠りを開きおやつの時間に差す