十字路を設けて砂漠なぐさめる

普通誰と呼ばぬカボチャの種を食べる

樫の木溶かしたからもう目印ないよと姉

宇宙は宇宙として百年後の麦を見ていた

行と万人が圧すこめかみ地上が見えない

ファン掻き回す肖像画前の故人の溜め息

王駆け寄る笊持って空の笊の元へ

蠢く円の後光に毅然と製粉工場

流域は毛深い未解読の猟奇

老将叫び声を上げ二度目の朝弔う

磁場消失森は下降する要素を持つ

卒園日の夜は苦くて古い箱

欧州の広場でフルーツから爆音

波の記号に怒張し党員四十四名

水満ちて痛覚にトマトが実る

筏割る黄土色した太腿で

血は地に霊は杭に黒光りする野草

生け垣燻す掃除機半分ほど服吸い

渇く巡りに絆されて五個下弦の月

文書浸すお湯の濁りに嫁ぐ男