落ち込む先に他人の足凍りつつ濁る

窓越しに滞空する雲揉まれている

窮地がしっとりしている空模様だ筆置く

波紋四方からコルク締め上げ平穏な海へ

暮れた真四角は密集した魔神の臓器

ランドセル息が足りないあたりに置く

栗羊羹めくる薄手のセーター寒色

薄く伸ばした雨樋に手首の失態

工場閉鎖児童らの目を繋ぐ目隠し

彼は鳥の生まれ変わり稲妻を名付けて死ぬ

墓は肉の一部そそり立つ白い雲へ

最初と最後の最の字の日を発作に眩ます

純金の霞が叔父を押し殺す

瞬間移動を感じ取り揺れるボンベは冷たい

川よりも高く浮く砂天寿に届く

木霊する茄子は固い宇宙だろうか

三日月湖に満ち今宵の符となる太陽

乙女に見えるまで縦笛で空気貫く

部室塗る校舎の陰に他意の指紋

血を飲むと横隔膜にコロッセオ