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老獪なる探偵立ったまま笑う
柩に塗る青と青空の血は違う
桐の箱にイルカが入っている危機感
苦笑錆び付くドアようこそ砕けた果実へ
鳩を計る定規を押し割ってSL
放物線のエコー比で光る脳の模型
木製の嗚咽からガソリン出る管
部屋の隅に木材集中する海から
丸書くつもりなどないコンパス刺すカレンダー
墓石の最後の一欠片を持つ初旬に男
クッションの嬲り心地に晴天続く
鹿威しへ昭和の原油到達せず
カーネーションの奴ら大船を埋め尽くすぞ
濡れた路面に待つ少年打ち込むオーロラ
細胞で混む人体で混む草原
次は清らかな暴行前暴行前バスを降りる
「ユーはあなたという意味」遺書はそう結び
父子で交わすカードに突如低気圧
海が見える前を蔦するクッキーは胃に
宿担う雲あるうちは草に栞