山鳴りに滅法強い頭数

嘆きで燻す版画また炭坑夫が死ぬ

泥で固まる川に翳してもコップは紙

ミジンコの明るみに刺す正座の膝

婚前に多重四角のS極撃つ

黒目は重力紺の火紺のノイズを映す

留守を預かるチョコレート一個噛みに行こう

刻んだネギを持ちまた自然へ行方をくらます

彼と呼べるほど積む無害の粉に席

茎へすぼむ花びらを銀の瞼に歩行

宙に回転軸剥き出し未来の枯れ野

竿で閉じた夥しい結露が自宅

ゴリラ腐り生前決めた色になる

正装した奇人の牙へ植木ずらす

日光が打つサングラスの奥のベル

団地のゴミ集積場明るすぎる決意をもって

雨漏りに垂直に階段と歩行者

出力エラーに皮膚破いたままアイドルの虹

視力と脚力バラバラで貧者卍にもつれる

罪深きプリンの深さとは高さ