約百人身じろぐまばたきもせずに

断崖絶壁穿つ大広間クレーンで吊るされ

チケットに青い柵書く夢の果て

爆弾爆発して白米を噛み締める

手拍子乾くカフェ光を飼う欠字の中

水槽の真珠は蝶をはぐらかす

廃品のガラスの外で飴舐める

砂漠の空に棲む鳥ボタンで留められそう

空間を伴わない地下ゆく幌馬車

不実が罪ならば死ぬ炭にまみれて

錆を擦る肉一切れに通信腫

庭ってなにと聞く生唾も通らぬ娘

陸上と椅子漂白されマグロ目立つ

コンビニだけが開く静寂にフェードアウト

追撃の蛇が紅茶を混ぜていく

塩の小瓶を岩山に喪服をかぶせて

隣人の知恵が更地に昼の丼

発電機をしょって畑の穴にいる

定時に婿坂道に鉄球止まる

書状に襞を表す踊りが落ちて私語