夕日に無地の券薄れて券売機の相対

沼が滴る粘土を孤児形見っぽく抱く

まっすぐとは死 病によがるシーツ

星形の贄にわだかまる硬い鍔

死んでなお鳥とわかるまどろみの島

おもちゃの怪人粉々にメロンソーダの川

蜂が眉間に真っ二つに前後左右の未来

科学者スイングして吹っ飛ぶ電車を追うエタノール

酒分ける地獄めくらの花いびり

今日滅ぶ村に今日いる雲無花果

寝縞に冴え痛みも光る六も六

海の中心の刺青突き出た裸体とも

数珠油性に怨霊と描かれ湯の流出

震源の玉璽は平行世界の窪み

苔むす鼓膜をヴェールに見る繋がれた犬の目

女体水着で縛られ多少の砂と個室

膨張する白夜無人機が薄れてゆく

トカゲのたましいマシン化して死を乞い続ける

毛虫香る枯れようもなく芳しく

綻ぶ水ウサギの白身はギョロリと剥く