寝床の壷山吹色の塵を啜る

瀑布浴びる青葉の上辺は艶めく鉄

祖父生きて漂う漆塗りの砂糖

遊びかどうかは風のみぞ知る二階の肉塊

書類の山に雲朽ち絶句と見る馬蹄

柱に不備あり妄りに鯰絵に縋る

折っても愛らしい首じゃのう呵々と能面

爆心に不死の蟻まだ糠を出ず

暗い発電所内部へ自壊するフェルト

やすやすと薬品くさい蝶の影

炉がひんやり黙らせてくれる午後の放送

忍び足のように父の手背に金文字を

火を吐く換気扇空き部屋で荷は散り散りに

バカンス黒くしなる内径に薔薇の爆発

瞳孔に彗星飾るドレスの中

特に溶かすケーキ屋のショートケーキが正気

削り出せない町に否定が結ぶ像

椰子荒涼かつ漠然と島に潤む

虚飾が異彩を放ち断つ青い来賓

廊下中に鈴一度に百叫ぶ夏