吊り橋・斧・人命下のチューリップ太る

虫も霊となる京都では菓子が甘い

回の字のごとく整列を組み込む車体

砂絵に麗しい手の渦巻き歪む鐘楼

カーテンレールから半紙垂らし蛾の射殺

蛍光灯で飛ぶ魔女の股繁華街包む

海一滴たちまち吸う魚の胃剥き出し

天を曇った鳥が飛び祝祭ぴたり

喫煙する少女の目の球体感を飲む

衣擦れに紛れて森林と囁く

パンを狙う兄・蛙互いに隻眼

電線久しぶりに来て全点線と交差

かつてまだらの紐とした血石窟を流れ

踊れ爆竹の光肋骨に屈折させ

誰もが提灯持つ山手足と足して奇数

大海原の大接近陥没にガチョウ

ブロンズ像はだけて青空へ白くグラデーション

母なる巡視艇崩れ花丸に狂う裸族

凍る蠍の虚を天体鬱々と

よく洗われた男生きている輪になって