大安吉日少年少女惨歌合唱

生後十年雨を隔ててプードル飼う

ぞっとしに来る子等五芒星に散らばる

橋落として水上家屋の臨死を知る

末端無声にして昂らずアラブのサボテン

夢に劣る雪に身を投げ衝撃波

来世まで在る滝の奥に象牙の印鑑

粉から粉へ摩天楼粉降る方が天

死は作中に回転する物質的刹那

星を繰る夜に見えない花の色

者と斜の差を舗装して港町の潮騒

木がまるごと入るポリバケツ公転で浮く

裸のマネキン麓に殻を飛ばし焼かれる

誰にも会わずにガム噛んでもらう峠の靄

ポケットから巨岩純血の夢と知れ

猿の子に家系告げられ渇く空家

白紙のデータに名を腕から信号発し

この野川も主旋律の根底大根底

妊婦がスクーター飛ばしている近未来に向かって

紺のTシャツ園児をまくりこの世のもの