女生徒寂しそうにハンマーとそらで口ずさむ

編む指も編む星の冷えた皮膚目指し

数の限りを飛び石に渡る川束携え

暴れる男の手のひら広がっておりまぶしい

魚の泳ぐ別に感情荷台の毛

倒れた耳は水害地区の岩捧げる台

襲名前夜縋り付かれ倒れるギター

なまぬるい宵の土に電球ねじ込む

死後生後まもなく同じノック聞く

いずれ紙上の眠りこの世を見たことも

翼の形に鴨飛び散って空ひらひら

喪を侵す長く逆巻く四肢の刺繍

声高に遊ぶ主体の怖い愛

緩めた追跡から土砂幽かに光る夜へ

近場に風呼んで空き地を看る少女

非は裏庭に未来のトマトジュースも乾く

ニケの日が来た二色のインクでフロアを塗る

幕間の大白痴群を斥候潜む

ダックスフントカルボナーラ食わせスペアの皿割る

魔法はそこかしこに風船から逃げるトカゲ