根の異なる枝絡め合う巨体の魂

つぶらな月の満ち欠け見破る終着駅

薄い邂逅重ねて四次元下の長老

鳥籠が匂う机上に無事な椅子

トンネルに帽子が見え帽子しかない

殖える庭園こちらに反り視点の奥空く

里裏の猫に眼を貸す龍の恩

テレビを模した箱は水浸し重く笑う子

天地ほどもある段差を下界へ痩せていく

不和ぴったり納まるビンの城で給水

僧は死に際チョコレートが好き遺族となる

散逸するドア月に欠け朽ちる年表

すりおろす蛙の着地する地面

ペン先の陰に虚数を飲まれる式

水鳥の中身は岩の如き空気

不慣れな螺旋の星酩酊して強い足踏み

悪霊の愛積む瓦礫はレジャーの墓

埋めたはずの時計の上で止まる太陽

スポンジケーキ埋葬する毒味役のクローン

夢の金の海に無限に山羊死ぬ凪