空き地縫い合わせる外科医は茫々と来た

花は無数にぼくの名を知らない畑

金の輪跳ねる内部を無血の鳥白く

深い思慮にブランコ下げまたとない円錐

黄緑の海まっすぐ日はナザレの猫

寝て塵を体に積む水道そのまま

かわいい子の旅先に歯車が見える

痛み漂う頭上の館にティータイム

サンバイザー婦人の目をきりっと夏来ず

窪みの水汲み尽くされても生きたい妹

荒ぶ荒ぶ姫君抉られた画布の中へ

木陰息衝く運転席にマグカップ

血のほかに寂寥流れる野生のトキ

流れる魚の無心と通じてマラカス振る

樹木叩けばコオンと鳴り舌の根が乾く

俗称が私服纏い街そのものを乞う

神殿崩落中時間止める神立ち去るべく

髪浴びて脳震盪裡に穂を抱く娘

平日を包むカプセル呼気溜めて

ああ日射病になりたい窓は一枚