余の背後に立つ家臣路頭の木その寿命

日没が照らす深海のマネキンの首

Tシャツ満載のワゴン東京湾に沈める

楼閣映すラジカセの錆一つない面

どこも入り口の森であり菌として我々

春薄暗く毛も無く鍾乳洞を女

四畳半ほど恥じらい星空虫籠から

報いとは何を喰うべく鳥はしる

あわれ痩せ細り海賊よ島は今日も無人

皮下に果実灯せば蝋燭より早く

園内の金具と死んだ餌に時報

茨に屈する花嫁の全貌に折り目

代数足りず箱の冷気へテレパシー

光る帝の遺伝子交点貫く絨毯

ようこそ・よくもが口癖 角は帽子で隠す

塞ぐ胸のネス湖は遠い正弦波

ダガー刺さるバネは丁寧な星の模型

シロと書いてある犬小屋に大量の綿

衣服絞り上げる裏口の女官叫ぶ

変哲弔う管弦楽団凶器で弾く