蹄鉄で窪む混血児の幻

空洞を内からしごく係員

明るい世の中パンをちぎっている・いない論

犬の服裏返しに大鍋の上

ポケットから片手出しフグひらけば農場

記念碑溶け込む公園に少女着衣のまま

ビルいっぱいに膝枕ぬるい血携え

空転する松葉杖が留守の小屋を引き裂く

媼の耕し終えてあとは永久歯となるだけ

長針の切っ先が見える丘へ行こう

マトリョーシカもクラインも孕まれる妊婦

石点線に沿って投げる背中にも美貌

異人淫乱なる頬つねり火花から覚める

フは五臓六腑のフと孤独な天使

一度死んで石碑を肉ぎっしりに壊す

ノブ持ち帰る場所がない泣き崩れる壁

性を喫し生の初夜に冠戴く

蝋崩れる北部の村は殻ばかり

二階の祭を見上げて多脚化する一族

まばたきに巨人逃がし名を持つ台風