蜘蛛から見た愛もある茶筒を開けよ

敬い腐る蟻噛み締めて忘れる肉

箱欠けた部分も箱午前の黒い砂

液体の店主は秘密に商店街

裸体に勾配あり水たまりが波打ってる

古城鳴き仮死のぬくさを内から積む

溜息と鳩の血で弾くピアニスト

鉄を撫でる涙目のすぐ下までスカート

高々と泳ぐ金魚のコルクを抜く

細胞の豪雨に空飛ぶ象傾く

立つ霊の高さの二倍が成層圏

錯覚の横顔から車輪が転がり出る

摩擦で起きるピン草のように群れをなして

春もしくは沈黙が来てカラス垂らす

存在間近のタンスの軸を始発がゆく

ねじれた橋を抜けて街の裏へ溜め息をしに

火を熾しに行く前転を他人がする

傾げる首を伝う包装紙床の暮れ

静寂は鈴を枕にして眠る

多分海は短い遠い小屋の破壊