枝分かれする階段つまずくなりカーテン

別の森の同じ沼地に降る偽札

星空嗅ぐ足場が連鎖して透明

青だ横断歩道は円錐とねじれる

本押して応答なくば辞書も引く

風に乗る閉じた傘でも逆上がり

突き刺さる鶴の蛹であった釘

亀の尾が省かれて宵のうちは雨

実情に鴨刷られてこそ新聞也

行きずりにトーテムポールは拉がれる

死に際に寄せる波紋の半径ほど

螺旋の着く大理石に蛸の頭つぶれて

まろうど昏倒して春の長さに腕貸す

彷徨う組に配属されてからの寝起き

湖に雨下げている龍の髭

空を辿れば住人が椅子で踏んでいた

食い入る眼の白い部分を降りて祀る

合皮に集う大腿骨と競る蟻塚

朱鷺を軸に生殺を巻く宿の二階

わたしを透かして見る桜はよいですか侍女