今日初めて雲を知り割る子を見知らぬ

桶を攫う手刀は空に斬りかかる

休場して貫く無言に麦添える

せがまれてもこればっかりは夏の樹木

欠伸のワニから逸れて山道芯ばかりのひと

蝋溶けてと発する峰の遠くに磁界

喉元を歩かれ砂とグルになる

屈む己の人骨に袖から閃光

誰もが飛ぶと信じて羽毛で埋めるマネキン

ふきだしから栗出す猿の暗い下顎

ひねり置かれた布から蛇いつかの回転

框ずる海岸砂はとうになく

釣り針の極限に伏せ石の雨

真空に遊ばす腕がテリトリー

折り目に集う五丁目はすべて紙

焼け残る宿に隠密裡に丸太

片方の襟を無くして湯気の連れ

平面の果皮を罰す海ならびに沢

傘差されて毛むくじゃらの深き沸点

もう羽根しか残らぬ嘶きから雷