病中の他人の胸に指輪置く

雪降って毛皮の継ぎ目が分からなくなる

惨い部屋に無が真実と語る額

笑み残るとする湾曲塗りたくられ極彩

模型の塗装に照らされてある老人街

指の中にある骨の刻印を読む

燃料から枝伸ばす液体の鳥

火のように薪を投げ入れられ巨体

渚向く血を滴らせ棘と我が身

薄目にはびこる国 屋上に渦巻く砂

森の中で滅ぶもの愛でに骨ばかりの鳥

空港から見えるビスケットは通貨

上流の歩道に巻いてある絨毯

一斤のパン灰色に太る呵責

現場にある片割れより一大事が孵化

五時のままの蝋に活かされるべく間借り

呼気の往復のさなかに鋳造間もない通貨

九官鳥の得体を舐めるほど涙

網の交点見て顎に触れる探偵の藻屑

重い琴に濡れて歯痒い鳥になる