うたた寝の顔にかぶせる本身体が透けてゆく

断面を読み取るつてに黒い足

草浴びて頬を打つ軽トラの荷台

誰もいない鏡の中の薄い紙

関わるための屈伸後頭部には鈴

月の陰になる槍月の方へ伸びる

木の葉潤みだす森の奥から凝視

耳は二つ目の口土壌を転げ回る

雷横切り朝が来てはアサと発音

水のにじむ和紙南の島に風、風

踊る足がコンクリ穿つ放送の受信

魔界と口に出して言ってみる勝手口の薄い横

空を薄い瞼に透かして見る浮遊

石になりたくて森の奥を見ている

紙切れの中身をコピー機に入れる

茨毟る朝の夫が冷めないうちに

太陽見て抜け落ちた羽も照らされている

新月に花屋の花は欠けている

行方知れずの腕から伸びた関節抱き寝る

カシミヤの死に付き合う白く枯れた木