カタリと雪平大嵐も煮るつもりなのか

穴ぐらから砂塵へうねる腕の跡

水を吸う滝よわたしも二枚舌

着ぐるみを脱ぐ風船ら手紙揺らし

微温い海が濡れている小さな町の鐘

灰を積む花壇を少しでも高く

呼吸で呼ぶ遠く悲しい貨物列車

芋蔓に錆びた鉄絡むわたしだ

過ぎ去る風を紙に書いてまっすぐ並べる

彗星の鉄枠光らせて民家

電柱抱くもっとも涙は枯れている

縦に長い床横は花畑の溝

掘削後の感触を手に両足を離す

砂漠に住む空洞らと会う二千歳

靴下から流れ出光射す醤油

同数浮かぶ泥沼から電源コード

降る指もうつくしいマンホールをずらす

華奢に巻かれて象の顎の骨の上で呼吸

乳牛鈍く鉄条網は息もせず

目に森を焼き付け目隠しして出社