溺れるそばの藁霞ませる病臥の咳

今後数名は街のない宿に身をくべる

炎天なんの肉か薄利の語感に引っ掛け

今後の癪にサンダルまでが距離の波

塁濁り旧の字を振られる湖

目の粗い布靡くかガラスの重り

日はピン突き動かされ少しずつ狂う時計

団地まで霞みニキータ稜線の下垂

野に放たれたケーキよく燃える危機を知らせに

生殖を見下す土偶紫蘇で撫でる

埋めた白衣の袖ひらひらと薬を塗る

ライター吊った小指重たい喪主の礼

贔屓の師を蒸して釜あう筋向かい

思い違いは星空に背をまさぐらせ

しゅうしゅう花から聞こえドライバー持つまだ夢

暗き歓楽突き出し沈没する全長

賽の蛇の目に葉が暮れ離れを抜けても離れ

着くまで息止めてるねと聞こえた助手席に湖畔

薄皮刷られて過疎の村の道を嗅ぐ亀

人である以上紙を焼く日が来る