水際と密になりたい麦携え

老婆の笑う腹が泥濘の孕む余地

完全ならばサボテンに話しかけたりしない

苛むと知るまで瓶はガラスのまま

ジグソーパズルからカモメ抜き穴が飛んでいる

廊下の冷たさとは乞うほど台所の明かり

帯刀して風のままに暖簾を裂く音

白剥き出しに茎を伸ばし恥じているとか

虎寝る近くの皿のステンレスに微笑む

歯軋りが聞こえる土砂災害地域

山肌から岩を投げるという以外は村

死すべきマイネームイズはうわごと毛布つかみ

では崇めるからよく見ている庭園にしゃがみ

利口な猿積み上げて山との対比

噴水も菜園も掠めるもの目は濡れ

弦に触れる赤いモーター渦巻きつつ

鴨群がる中洲に取り残されたいが噛む

息を抜けて素通りする鉄パイプの空虚

時に水車定めを理解するも水来る

発端を絶叫で隠す最上階