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喝采華美に飾るドレス五階の吹き抜けまで
来る日も来る日も蟹食い住んで白い家
底なしの空潤ませ麻痺するレイヨウ
馬の跳ねた夕べを巨鳥吸わんと没する
体操選手の肉体に射す架線の影
幽霊の穴は寝姿に四肢を持つ
顔面に樹脂かけて帰らない子等
半ズボンから下を持っていく光線
死を携えやってきたどんなものもモニカ
鵞鳥の群れは目に映らず門構えぬめる
奈落にも火はあるキュウリを焼いている
牛に奥行き取り付ける錯覚見たまま
教授薄く色付き始める薬の壜
撮影の比喩従えば女優の殻
拳銃消えても咎めたてよ逆さ星の盲人
隣人は虎を経ていた鐘が鳴る
土を歩くことすっと肉厚を汚す
扇朱に咲く杭影に渇き癒す
深手に繋ぐ指で嵐の中ピアノ
慟哭する長女食後の先端として