魚模様に響く頭痛の雅な古都

属す過去に召されて太極拳で塞ぐ

次の日に録ったじぶんの声と住む

肉に触るひと妊娠して席が空く

朽ちゆくものに浮力を洞窟いっぱいの恋

真緑に燻る舞踏の見えざる足

台形に性剥き出しの近さ研ぐ

赤いペンキがバケツから航空機へ這う

迷い方を知らぬ賢人骨で見つかる

雀の分身が左目の裏に逃げゆく三角

仏の内部にピアニスト揺らぎまた閑寂

雪が吸う音に身を乗り出し湯として流れる

先頭集団は猿氷塊湧く泉へ

未踏のうねりが眩しく果て龍と化す月日

無知な漆喰一枚ではない空へ異音

モデルハウスに二重のケース型の家族

友が見ているさて薫製を撒き散らす

開くと贖うとして貝焼く微塵の眠り

灯籠完全なる球信奉者の手ぬくく

末尾から別の末尾へ犬歩く