女御の多重の裾へ身を音波とくねらす

蛮族倒れて角笛吹く雨は目から殺す

ワッショイワッショイ患者来る鬱の二十九画

耳と同じく青白い受話器から名声

くつくつひどい屈曲だ鳩を撃ち殺そう

人と血が広場で遭遇する昼間

装飾された鞘より苦しい胸を下げる

寒天質の天文台への案内板

キツネの長さは調整され再度暴力

谷は穏当に許す鉄塊のバンジージャンプ

飢えた大口は葉型で花火を脈にとる

フクロウ撫でた腕が担架で運ばれていく

毛皮めくるスキップは滅亡の技

ボウリング場閉店後に自動車から聖歌

海が住む無音を蛸は締め上げる

金歯の老婦太りそこここにホースや水

恨まれても壁だった黙れ黙れと呟く

十年に一度の夜が星の死後

もう生首の男が磨いた刀に映る

ごめんね死んでほしいんだとレストランのステーキ