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つくし返す春に押しつぶされた手で
足の数へ促音混ぜる火花翌日に
底を目指し一万年落ち続けるバネ
雨過ぎてなおザーと雛を呼ぶラジオ
部屋にラムネ菓子の袋を貼りしゃがむ
ほだされて別れは羽化せず小夜うねる
寝てつくる暗がりが滝と流れる門
三角定規をベランダに無に犇めき住む
白鳥来て皿の歯形と符合する
正座潤ませ四方八方土しかない
鉄の音し振り返る今へマグマの堰切る
選択範囲に召使いの婆さんの寒い目
青銅のドーナツ置いて巨大な春
街灯に牙と首輪を呼ぶ踊り
魚が割れる面が海の表あ島だ
火災フロアへエスカレーターから今樽
そばを過ぎる稲妻甘い高層の留守
電気スタンドのプラグで高天原にとどめ
女の非業は窓を背にする薄笑い
霧よそう馬の背中に正座して