薪を牛にぶつけてきれいな三角形

まだらの一部に居を構えて霊界のサイダー

空しい脱衣に音が立ち無傷

磁場狂い鶏冠が対になる茂み

日没の模倣まず転がる首を指差す

寝ずの番に板を噛ませる火事の夢

食肉踏む足どかし肩でフタを閉める

狼型に欠ける月満ちて断末魔

濡れて揺れるあなたになる電線を抜く

確執を洗う夏の警報機涼しい

鍋をかぶって透明に生家をうろつく

地平反射する目に地平もわたしも見える

あてもなく彷徨い死ぬ角砂糖の消失

断つ色の液降る傘と骨を交わす

花も吸われまいと茎から下円錐都市

ファックス受信紙の冷たさと肉煮る

ビルとビルの間は何色一時休戦

茶室朱に染める逆光の一覧刷る

馳せる思いもない助けて時計それも忘れた

記憶にいつも矢を吹いていたハシゴの冷たさ