■
呼吸冴えて月夜に配達夫の点滅
渦から末広がりの痙攣受けロボ前進
除隊常に小数である無数の靴
カマキリに例える頃のレストラン
囮の足美しく谷から噴出している
街に朱のうねり閑静に草刈り機
まくった袖が来年の海外に着く
海の模様をした牧場に誰もいない
逆立ちで踏む空の皺実に短命
石斜めに真っ直ぐ神社苔むして
暗い扉の二個上の兄として振る舞う
塔の刺さっていた月夜に残されテープカット
半身は炉へ置き去りに壁を摺る
バスタブに神経光る朝の煙
枝先の水玉に石を運ぶ親鳥
シンナー吸って青空に猫背吐く
おにぎりを割って旅行にする天狗
花は玉砕と呼んでシーチキンを食い笑う母
軒下に粉の嬲り遠き王の遺志
輪になって紙テープを回覧する