呼吸冴えて月夜に配達夫の点滅

渦から末広がりの痙攣受けロボ前進

除隊常に小数である無数の靴

カマキリに例える頃のレストラン

囮の足美しく谷から噴出している

街に朱のうねり閑静に草刈り機

まくった袖が来年の海外に着く

海の模様をした牧場に誰もいない

逆立ちで踏む空の皺実に短命

石斜めに真っ直ぐ神社苔むして

暗い扉の二個上の兄として振る舞う

塔の刺さっていた月夜に残されテープカット

半身は炉へ置き去りに壁を摺る

バスタブに神経光る朝の煙

枝先の水玉に石を運ぶ親鳥

シンナー吸って青空に猫背吐く

おにぎりを割って旅行にする天狗

花は玉砕と呼んでシーチキンを食い笑う母

軒下に粉の嬲り遠き王の遺志

輪になって紙テープを回覧する