罠遠い冬の間の降霊術

爪を洗う日も滞りなく銀河

放課後に淡いガム噛む歩兵いそう

燃える海の場所何度も悲鳴で聞き取れない

冷たい縄を伝う青いペンキ昔は虎

ガラスに透けるわたしであってもガラスを思う

火葬場に風入れて踊らすトイレットペーパー

奥行きへマラソンしよう花持って

フルート奏者の頭にスーツをかけ日向へ

首が疼くイルカのいない空が好き

箱形に婚姻するべくガムテープ

差し伸べた手に付けてある発信器

開いて吊る傘の列空き家から伸びて

ここが海でなくて憂う中二階に鍵

回る限りはキャップとして度々夜明けを見る

枷引く少年柿色に母親を名乗る

ウィンナーをタコ型にして待つ竜巻

山小屋の遠い電話に振るマラカス

寝るわたしも大トカゲの全長の一部

泥沼の胸ぐらを掴み波、無人