コーヒーカップの取っ手を傀儡汚れて通る

くるぶしを他人の血色から抜き取る

鐘の破片に待ち合わせる特使等も余韻

紺色のテトラポットに沈む船

その家を焦がす炎に鋭い点呼

眼科の裏で今日見た夢から磁石を取る

仇を取り花を植え地を這い身ごもる

斧持って肌身に樹齢擦り付ける

平日に帽子の下で泡を剥く

フィルタ遮光する目を流線の根にする

今六月の六時元日にコンパス刺しに

血管を抱いて泣くほど鳥だった

子らは貝にチョコを詰める明日は砂が子らに

靴脱いで雲に取り残され冷たい

自らに鞭打つ腕を渡るペンギン

互いして海の向こうにいる自分

まだ住める袋を揺らすうるさい屈伸

電報ぴんと張る浜千鳥、浜千鳥は死んだ

千切れた不死鳥交差点に堆く集う

復唱して殴る熱海の遠い蛇行