突然の恋が奇数を兼ねている

緑の米に浸かり無口を貫くまで

犬と会う砂利よけねばならぬ広がり

対辺の暗さに町の呉服店

刃渡りにテトラポットと揃いの靴

陣痛の男がビルに塗る卵黄

濡れた紙テープは舌若き未婚の蛙

物置を潰す裏庭自身の息

ぶり返す背中を矢文が行き来する

回転して離れる黄昏のキャップだった

仮の名である限り枕を閉じる

架空の弟が生える母の四角い形見

雲割る茎虎の首輪が草なんだね

俯きながら頭上で紙袋を逆さまにする

石の像が飲み込む星僕は笑おうか

友の涙に傾斜するプラケースの植物

脚光浴び終えた足以外花吹雪

潮引いて村に楕円の泥団子

オブラート越しの零時に石ひしぐ

ゆっくり降りた階段紙に写して枕