肋骨のあたりに箸を立てて寝る

裂けた鍵であれ空で光を見てきたのだ

林ぐつぐつ煮え始め尽きぬ噂話

木星から霧吹き出し肉眼役立つ

(ここから2009年)

中州凍てつく音凍てつく度鳥の形

暮れ返す雲の翳りに坊の膣

花束を吹き消す肺膨らみ透明

女の列一旦は囲炉裏に消える

氷原の饅頭から棘で書く雲

二枚舌の隔たりを嫁ぐ悪天候

そぼ降る道なき子の口から帯生きた分

靴を無くしてから噴煙ときどき雷

流木に耳当て地球空洞説

回るガラガラのように地中へ無数の馬

ダムに落ちた塊がぼくであるとは無知

泥から上は空だよ肘を浸しつつ

髪を切り書庫に櫛立てかけておく

雪も降らない図書館鉋で削られてゆく

手を洗おう不憫な同胞引き連れて

黴後から燃え始め頬を打つ冷たい風