モーター持ち冷めるオルガンの上に立つ

抽き出し全部引くと見知らぬ同胞になる

擦れ合う腿に実にしっくりと牛乳配達

鯨の胃に映る蝶らの鱗粉浴びて

沈没して風送る船前世は花

待合室の患者ら白紙を縦に持つ

誰かが足埋めるまで生えているとせず

鉛寄せて球体の側面に置く

薙いでからの会いたさだ草の匂いに噎せ

目隠しをして落ちている鳥に滑る

葉が覆う視界は海耳栓を抜く

港からの鮮やかな廃棄物に鯨

うすぐらい一人称で泣いている

平日の橋を知らなくなれ頭

ひらがな曲げると立っているとても似た靴下

名を脅す雷でもテレビがない小屋

シャツ踏んで手足が出るか確かめる

嘘で塗り固めた髪靡く石膏の丘

噛み砕いた岩を小躍りする村に遣る

己のベルはどこだあらゆる金属を叩く