怯える鳥の渦を笑う口に入っていく

進化を重ねたひと見知らぬ祖母になり会釈

人口減ると軋むステンレスの水田

ブルドーザー眩しくて滝を出てみたくなる

平均体重分のステッカー血の上に貼る

虚空の理容師客の入ったズタを曳く

犬の憩いただある無心にある凹み

タキシード焼くときれいな菫色

いずれも冬互いに錆び対の目玉とスプーン

鮭の塩が背中を擦る出口のない部屋

甲高く鳴りはしたが壷雨に満つ

とどまる意味も壁に病む富士書いていく

ほだす意における原石山望む

ぬくい土を欠く地下へ生きた牛から階段

県境が完全に囲むろうそく消す

天敵の妻予備の昨日から牙剥く

障子一枚ほどの皮膚の中血となる母

屈みに屈む部屋の隅を背に生やし飛翔

天上遠く樹外児へ金属のシャワー

輪のみ残し土星はと落花生頬張る