混声の昼間は千々にビールつぐ

トカゲの死骸のそばにフエラムネヴーンと唸る

粉塵と化す壁の会釈会釈で突っ切る

書道のせがませ方キリキリと雨期を狭める

税としてせせらぎへ派生する巨像

もう車の通らない道を人々が寝だした

憚りとは塾の裏手の空想の鐘

植樹に絡む熱巻き上げ神々しい脛

マンションの角に切れ目を雷の為

自己紹介のとき後ろ暗くして帰る

不在の一点寿ぐ女人の血迸る

三つ葉摘む震えに差すショッキングピンク

割った殻の中で流砂に飲まれる白鳥

録って消すなんでも筒に入れるドラマ

脳裏に弾む頭巾被るべき正しい間隔

無糖の稚魚去る雪像はみなみどり児

這って地面が近い息をさせてほしい

虹受ける日陰の崖で黙る兎

果実くれないなら夕がたにそこへ静まる

発狂は明日か時制の国を賭する